陰部の違和感、膣に何か丸いもの触る!これ何!?Part2

医学

治療法

  ・腹腔鏡下仙骨膣固定(LSC:Laparoscopic Sacrocolpopexy.)
  ・ロボット支援下仙骨膣固定術(RSC:Robot-assisted Sacrocolpopexy.)            
  ・メッシュ手術(TVM手術)
  ・その他、経腟的に修復する手術など



手術療法はLSC, RSCともに全身麻酔で行います。手術時間は3~4時間程度です。

各施設によりまちまち。出血量は10~30ml程度と非常に少ない傾向にあります。

手術中の体位は頭低位といって頭を少し低くした状態でおこなうので、脳血管圧や眼圧が上昇するので、脳動脈瘤などの脳疾患や緑内障など眼圧が高い方はLSC,RSCを受けることができません。また、ご高齢の方も手術時間を考えるとTVMのほうが良いのかもしれません。

 一方、TVMは全身麻酔下で、術中の体位は砕石位といってお産をするような態勢で行い、手術時間1.5~2.0時間程度とLSCと比べると短めです。

 しかし、出血量LSCやRSCに比べるとやや多めな印象です(とはいっても自分の施設での傾向では50~100ml程度でした)。

TVMは砕石位がとれず開脚制限(股関節の手術や人工股関節、人工骨頭などが入っていて足が十分に開かない)がある方はこの手術はうけられません。逆にこのような方は開脚する必要がないLSC,RSCが選択肢となってきます。

 いずれのやり方で手術を行っても再発率など手術成績に大きな差はありません。

術後の経過

術後の痛みは? いつからご飯食べれるの?歩けるのはいつ?などなど、、、、これらは実際手術を受けるとなると気になる点ですよね。

なんといっても痛みに苦しむのは嫌ですよね!

LSC, RSCはいずれも膣壁は切らずに、腹部に内視鏡のための穴を1㎝程度の創が1つと5㎜程度の創が3か所開こことになります。腹部の創はその4か所のみですが人によってはその腹部の創が痛むという人がいます。それもごく軽度で、鎮痛薬内服でよく効く傾向にありますから、術後の疼痛に関してはLSC,RSCはそれほど心配することはないと思います。

一方TVMに関しては手術時間は早く終わるのですが、どうしても手術手技的におしりのほっぺたの奥の方にある靭帯組織を利用しなくてはならないので、その影響で術後臀部の重苦しい痛みがでることが多いようです。安静にしている分には痛くないのですが立ち上がったり、起き上がり、いきんだりと力がはいると臀部の鈍痛がでてきます。ただこの痛みもずっと続くわけではなくて退院する頃にはほぼなくなっているか、気にならなくなる程度か、あるいは鎮痛薬を頓用する程度で問題ない程度におさまっているのが一般的です。

最終的には痛みはほぼなくなることが多いです。(経験上退院後の外来フォローで気になる痛みを訴える方はほぼいませんでした。)

 自分の経験した、現在の施設でのお話ですが術後経過をお話すると、術直後はベッド上で安静、点滴とおしっこの管が入った状態で翌朝まで過ごしてもらいます。ちなみに水分は術後3時間経過した段階で飲水開始です。

翌朝血液検査やら、身体所見やら診察して問題なければおしっこの管を抜いて、念のため点滴の管だけのこして他は一切とりはずして安静解除、歩いてもらいます。お昼から食事開始です。さらに翌日午前の段階で食事が安定してとれていれば点滴終了して入院前のような状態となります。

術後2日目には食事、歩行もできてて、点滴もない状態となっています。なのでその翌日術後3日目退院可能ではあるとは思うのですが術後発熱や排尿障害、疼痛、創部感染などの有無を観察したいと思うので入院はもう少しいていただくところが多いと思います。

大体入院はtotal 1週間くらいかと思われます。(手術前日に入院、翌日手術、術後5日目くらいで退院)しかし、現在はもっと短期間の入院で施行している施設がふえているかもしれません。

腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)やロボット支援下仙骨膣固定術(RSC)とTVM手術の決定的な違い!とは!

決定的な違いはLSC,RSCが膣壁を切開しないで手術をするのに対し、TVM手術は膣壁を切開して手術を行うので、どうしてもTVM手術は性交渉時の性交時痛の可能性が高くなることがあげられます。

LSC,RSCにこの可能性がまったくないというわけではないのですがやはりTVMはその可能性が高くなります。

術式を選ぶ際には患者さんの希望は勿論のこと、年齢、身体の耐術能、これまでの既往歴、術後の性生活の活動性なども考え総合的に術式は検討されなければならないかと思います。

保存療法

リングペッサリー

もう年齢も年齢だし今さら手術は受けたくない、持病の関係で手術が難しい場合はペッサリーというリング状のものを膣内に入れて臓器が下がってこないようにする方法です。手術とは違い根本的な治療ではありません。大きなリスクは伴わず対処可能な手技です(慣れると自分で出し入れできます。)が、デメリットとして膣内違和感、膣粘膜びらん、出血、おりものが多くなるなどが挙げられます。このような合併症が生じた場合は患部が治るまでリングは外さなければなりません。

骨盤底筋体操

骨盤臓器を支える骨盤底筋を鍛える体操のことで、比較的軽度の骨盤臓器脱に効果があるといわれています。3か月は少なくとも継続しないと効果が表れません。即効性はないものの特に副作用などおおきな合併症はありません。骨盤底筋を鍛えているつもりでも間違って腹圧ばかりかかってしまうと逆に脱の悪化を促進してしまう恐れがあります。体操するのであれば一度指導を受けてからの方がよいでしょう。

サポーターパンツ
骨盤臓器脱を膣入口より外にとびださないようにおさえるパンツです。通常の下着のようなものです。ネットなどで販売されています。

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