夜尿症(おねしょ)

子どもの「おねしょ」が続く親御さんへ

いつまでたっても自分の子どもが「おねしょ」とさよならできないと不安になりますよね。いったいいつまで続くんだろうか。この「おねしょ」なおるのだろうか。お布団の洗濯なども大変ですよね。なによりも子どもの気持ちの面で大丈夫だろうか?本人も早く「おねしょ」なんかとサヨナラしたいはず、まわりの友達は「おねしょ」なんてしてないのに自分だけ、とか、「おねしょ」によって自尊心が深く傷ついて何に関しても自信が持てなかったり、何事にも消極的になったりなどなど、いろいろと心配してしまいます。このように「おねしょ」は一歩間違えると子供の精神発育に悪い影響を与える可能性があります。なので、子どもが「おねしょ」をしてしまったことに関して親としては しらんぷり するのが一番。無関心という意味ではなくて、あえてそこに触れないという意味ですね。本人が一番気にしているのですから。

夜尿「おねしょ」とは?

おねしょのことを医学用語で夜尿といいます。言葉の定義としては「夜間睡眠中に不随意(本人の意思とは関係なく)に尿を漏らす現象」のことをさします。つまり「眠っている間、自分がおしっこしたいと思っていないのにいつの間にか尿が漏れていること」を夜尿(おねしょ)といいます。
 また、夜尿症とは「5歳以降で1か月に1回以上の夜尿が3か月以上続くもの」と定義されています。(国際小児禁制学会:ICCS;International Children’s Continence Society) 
どのくらいの割合のお子さんが夜尿症に罹患しているか?といると、おおよそ5,6歳の未就学児で約20%、小学校低学年で10%前後、高学年で5%前後、中学校以降1-3%程度まで減少はするものの、成人になっても夜尿が残存するひとが稀ながらいます。性差でいうと男2:女1と男児に多い傾向にあるようです。
 遺伝的なことをいうと家族集積性がつよくでていて、両親の片方が夜尿症であった場合、子どもの夜尿症になる確率は通常の5~7倍高まり、両親がともに夜尿症であった場合は子どものその確率は約11倍高まるといわれています。

夜尿症の病態と原因

夜間眠っている時におしっこを漏らすか漏らさないかは、まず第一に寝ている時に、膀胱に尿がたくさん溜まって尿意を感じて目を覚ますことができるかどうかにかかっています。(少し難しく書くと、「睡眠中、膀胱充満時に尿意を自覚して覚醒できるか否か」)
 もし、目を覚ますことができない場合は夜寝ている間に作られる尿量膀胱が蓄えられる尿量のバランスにかかっています。つまり、夜寝ている間に作られる尿量 < 膀胱が蓄えられる尿量 であれば尿は膀胱内にとどまっており漏れはないだろうし、
 夜寝ている間に作られる尿量が多い(夜間多尿)>膀胱が蓄えられる尿量
でも尿意を自覚して目を覚ましてトイレに行けば漏らしはしないでしょう。
 このように夜尿症は覚醒障害を基盤としたうえで夜間の多尿や膀胱の畜尿量の問題が加わって起こると考えられています。
 要するにおねしょの問題点は
①目覚めの問題(これ一番大事)
②夜間の尿量の多さ
③睡眠中の膀胱容量減少
 の3点ですね。

夜尿症の分類

夜尿が消失したことがないか、あったとしてもその期間が6か月未満の場合を1次性夜尿症、夜尿が消失していた期間が6か月以上あるが再び夜尿が再燃した症例を2次性夜尿症といってます。1次性が75-90%,2次性が10-25%。2次性は両親の離婚などの精神的ストレスや精神疾患の併存率が高いといわれています。

夜尿症の自然経過

「夜尿症はそのまま様子を見ておけば、人より遅いかもしれないけれど、成長とともに自然に治ってしまうのでとくに何もしなくても大丈夫」と思っているかたもいるのではないでしょうか?確かに一部のお子さんは自然に治ってしまうことも事実ではあります。小学生の夜尿症は1年で約15%の自然治癒を認める*)となっています。しかし、0.5%~数%は成人へと移行していきます。また、特に毎晩夜尿がある子どもでは成人まで移行するリスクは高い傾向にあります*)
 いずれにせよ、夜尿症の子どもに行動療法など治療介入することにより自然治癒率に比べて1年後の治癒率を3倍程度高めることができ治癒までの期間も短縮できるようになります。

* 夜尿症診療ガイドライン2016 初版、日本夜尿症学会編、夜尿症診療ガイドライン作成委員会:夜尿症の頻度(有病率)と経過

次回も引き続き夜尿症についてお話します。

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