こんにちは、管理人のYUKIです。
子どもの「おねしょ」。
子どもを持つ親御さんにとって、
「いつまで続くんだろう?」
「小学生になってもおねしょをしているけれど大丈夫?」
「病院に連れて行ったほうがいいの?」
と心配になることも多いのではないでしょうか。
実は、おねしょは決して珍しいことではありません。
年齢とともに自然に減っていくことが多い一方で、ある程度の年齢になっても続く場合には「夜尿症」として診療の対象になることがあります。
今回は、おねしょと夜尿症の違い、夜尿症が起こる原因、どのくらいの子どもにみられるのか、自然に治るのかについて、泌尿器科医の立場からできるだけわかりやすく解説します。
おねしょが続くと心配になりますよね
いつまでたっても子どもがおねしょから卒業できないと、
「いったいいつまで続くんだろう」
「このまま治らなかったらどうしよう」
と心配になるものです。
毎日のシーツや布団の洗濯など、ご家族の負担も決して小さくありません。
そして、もう一つ大切なのが子ども本人の気持ちです。
年齢が上がってくると、
「友達はもうおねしょしていないのに、自分だけ……」
と悩んだり、学校の宿泊行事を不安に感じたりする子どももいます。
夜尿症は、子どもの心理・社会面や生活の質(QOL)に影響することがあるため、単に「寝ている間に尿を漏らすだけの問題」とは限りません。[1,2]
だからこそ大切なのは、おねしょをしてしまった子どもを叱ったり、責めたりしないことです。
おねしょは、子どもが怠けているからでも、わざとしているからでもありません。
本人の意思だけでコントロールできるものではないからです。
失敗した朝も必要以上に話題にせず、淡々と対応してあげるくらいでよいと思います。
「おねしょ」と「夜尿症」は同じ?
一般的に使われている「おねしょ」は、医学的には夜尿と呼ばれます。
夜尿とは、簡単にいうと、
眠っている間に本人の意思とは関係なく尿を漏らしてしまうこと
です。
そして、ある程度の年齢になっても夜尿が続く場合を「夜尿症」と呼びます。
日本の『夜尿症診療ガイドライン2021』では、ICCSの定義を踏まえ、5歳以上の子どもに睡眠中の尿失禁が認められる状態を夜尿症として扱います。[1,2]
ただし、
「5歳になった翌日から、おねしょをしたら病気」
という意味ではありません。
子どもの発達には個人差があります。
実際の診療では、年齢だけではなく、夜尿の頻度、昼間の排尿症状、便秘などの有無、本人や家族がどの程度困っているかなども含めて判断します。[1,2]
夜尿症は珍しいものではありません
「小学生になってもおねしょをするなんて、うちの子だけでは?」
と心配される親御さんもいます。
しかし、夜尿症は決して珍しいものではありません。
夜尿の頻度は年齢とともに減少しますが、小学生になってからも夜尿が続く子どもは一定数います。[1]
つまり、
「小学生なのにおねしょをしている=非常に珍しい」
ということではありません。
また、夜尿症は女児より男児に多くみられる傾向があり、家族内でみられやすいことも知られています。[1]
そのため、おねしょを
「しつけが悪かったから」
「トイレトレーニングを失敗したから」
などと考える必要はありません。
なぜ夜になるとおねしょをするの?
夜尿症を理解するうえで重要なのは、大きく次の3つです。
① 夜につくられる尿の量
② 膀胱にためておける尿の量
③ 膀胱がいっぱいになったときに目を覚ますことができるか
です。[1,2]
少し詳しく説明してみましょう。
① 夜につくられる尿の量
通常、夜間には尿をつくる量を抑える仕組みが働きます。
その中心となるのが抗利尿ホルモン(バソプレシン)です。
この仕組みによって、夜は昼間よりも尿の産生量が少なくなります。
しかし、この昼夜のリズムが十分に発達していなかったり、夜間の尿産生量が多かったりすると、睡眠中に膀胱へたまる尿が多くなります。
これが夜間多尿です。[1,2]
② 膀胱にためられる尿の量
つくられた尿は膀胱にたまります。
夜間に膀胱へ十分な量の尿をためておくことができれば、朝まで尿を漏らさずに眠れる可能性が高くなります。
一方、睡眠中に膀胱へためておける尿量が少ない場合には、夜間に膀胱がいっぱいになりやすくなります。[1,2]
③ 尿がたまったときに目を覚ませるか
膀胱に尿がたまったとしても、
「おしっこに行きたい」
という刺激によって目を覚まし、トイレへ行くことができれば、おねしょは起こりません。
夜尿症の子どもでは、膀胱がいっぱいになったときの刺激によって十分に覚醒できないことが関係していると考えられています。[1,2]
つまり夜尿症は、
夜につくられる尿の量
膀胱にためられる尿の量
睡眠中の覚醒の仕組み
といった複数の要素が関係して起こります。[1,2]
どれか一つだけが原因とは限りません。
夜尿症には「一次性」と「二次性」があります
夜尿症は、経過によって大きく2つに分類されます。
一次性夜尿症
生まれてから現在まで、夜尿がない期間が十分に続いたことがない場合です。
一般には、6か月以上連続して夜尿がなかった期間がない場合を一次性夜尿症と考えます。[1]
夜尿症の多くはこちらに含まれます。
二次性夜尿症
いったん6か月以上夜尿がみられない期間があったにもかかわらず、再び夜尿が始まった場合です。[1]
二次性夜尿症では、生活環境の変化や心理社会的要因が関係することもありますが、それだけとは限りません。
便秘、尿路感染症、糖尿病などの身体的な病気が背景にある場合もあるため、
「半年以上おねしょをしていなかったのに、突然また始まった」
という場合には、一度医療機関へ相談することをおすすめします。[1,2]
昼間の症状があるかどうかも重要です
夜尿症を診るうえでは、
夜のおねしょだけなのか、それとも昼間にも排尿の問題があるのか
という点も重要です。
夜尿以外に下部尿路症状を認めないものを単一症候性夜尿症、昼間の尿失禁、頻尿、尿意切迫感、排尿困難などの症状を伴うものを非単一症候性夜尿症と呼びます。[1,2]
この違いによって評価や治療方法が変わることがあります。
昼間にも尿を漏らす、極端にトイレが近い、排尿しにくそうにしているなどの症状がある場合には、医療機関で相談した方がよいでしょう。
夜尿症は自然に治るの?
夜尿症は、成長とともに自然に改善する子どもも少なくありません。
従来から、夜尿症は年間約15%程度が自然に改善すると報告されており、日本の『夜尿症診療ガイドライン2021』でも自然経過について取り上げられています。[1]
ただし、
毎年15%ずつ必ず治る
という意味ではありません。
夜尿の頻度や年齢、症状のタイプなどによって経過には個人差があります。
また、少数ではありますが、青年期・成人期まで夜尿が残る人もいます。[1]
そのため、
「成長すれば、そのうち必ず治るから何もしなくてもよい」
とは言い切れません。
本人がおねしょを強く気にしている場合や、学校の宿泊行事が近い場合、家族の負担が大きい場合などには、治療を考える意味があります。
ICCSの標準化文書では、夜尿症に対する積極的治療はおおむね6歳頃から検討可能とされています。[2]
おねしょをしても叱らないことが大切
最後に、ぜひ覚えておいてほしいことがあります。
おねしょは、子ども本人の努力不足ではありません。
「どうしてまたおねしょしたの?」
「もう○年生なのに」
などと責めても、おねしょが治るわけではありません。
むしろ本人が一番、
「おねしょをしたくない」
と思っていることが多いのです。
叱らず、焦らず、必要以上に本人へプレッシャーをかけないことが大切です。
そして、おねしょが長く続いて本人や家族が困っている場合には、現在は治療方法があります。
まとめ
おねしょは子どもによくみられる現象で、年齢とともに自然に減っていくことが多くあります。
一方、5歳を過ぎても睡眠中の尿失禁が繰り返し続く場合には、夜尿症として考えていきます。[1,2]
夜尿症には、
- 夜につくられる尿の量
- 膀胱にためられる尿の量
- 尿がたまったときに目を覚ます仕組み
などが関係しています。[1,2]
大切なのは、おねしょを子どものせいにしないことです。
長く続いて本人や家族が困っている場合には、「そのうち治る」と我慢するだけではなく、小児科や泌尿器科へ相談するという選択肢があります。
では、実際に夜尿症はどのように治療するのでしょうか?
★あわせて読みたい|子どもの夜尿症を改善するには?
夜尿症の治療では、まず生活習慣を見直し、便秘などの問題があれば適切に対応することが大切です。
ご家庭で取り組める具体的な対策や、夜尿症を改善するための生活習慣については、こちらの記事で詳しく解説しています。
👉 「子どもの夜尿症はどう治す?生活習慣と便秘対策を泌尿器科専門医が解説」
お子さんの夜尿症でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
参考文献
[1]日本夜尿症学会 編.『夜尿症診療ガイドライン2021』.診断と治療社,2021.
日本における夜尿症診療のガイドライン。定義、分類、疫学、自然経過、診断、治療などについてまとめられています。
[2]Nevéus T, Fonseca E, Franco I, et al. Management and treatment of nocturnal enuresis―an updated standardization document from the International Children’s Continence Society. J Pediatr Urol. 2020;16(1):10-19. doi:10.1016/j.jpurol.2019.12.020.
[3]Nieuwhof-Leppink AJ, Hussong J, Chase J, et al. Definitions, indications and practice of urotherapy in children and adolescents: A standardization document of the International Children’s Continence Society. J Pediatr Urol. 2021;17(2):172-181. doi:10.1016/j.jpurol.2020.11.006.
※この記事は、夜尿症に関する一般的な医学情報を提供するものであり、個々のお子さんの診断や治療を目的としたものではありません。症状が続く場合や、昼間の尿失禁、排尿困難、強い口渇などを伴う場合には、小児科・泌尿器科などの医療機関へご相談ください。

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