夜尿症(おねしょ)Part3

医学

積極的治療

薬物治療

抗利尿ホルモン

多尿に対し抗利尿ホルモン薬を投薬し尿産生量を少なくし夜尿を治療するというものです。デスモプレシン点鼻薬、内服薬のミニリンメルトOD錠が夜尿症に対し使われる。デスモプレシン製剤として点鼻薬の商品名はデスモプレシン・スプレー10協和R 。寝る前にスプレーを左右どちらかの鼻腔に1噴霧(10μg)します。効果が不十分であればスプレーを左右の鼻腔に各1噴霧づつ増量します。
注意点としてはアレルギー性鼻炎などある時は吸収が著しく低下して治療効果が下がります。スプレー前に鼻をよく噛みましょう。また、このデスモプレシン・スプレー10協和の重篤な副作用としては水中毒、それに伴う低Na血症なんてものがあります。重症の低Na血症では痙攣、昏睡、死亡も起こりうるので投与にあたっては厳重な水分摂取管理が必要です。水中毒を示唆する症状として倦怠感、頭痛、悪心、嘔吐があり、それら症状が現れた場合には直ちに投与を中断しなければなりません。

抗コリン薬

この薬は膀胱が縮むのを抑えて、リラックスさせてもっと膀胱に尿がたまるようにするお薬です。商品名でいうとバップフォー、ポラキス、デトルシトール、ベシケア、ウリトㇲといったところでしょうか。

三環系抗うつ薬

 1960年代から夜尿症に使用されていたお薬です。
 現在は抗利尿ホルモン薬、夜尿アラーム療法(後述)の高い安全性と有効性が確認されたため、これら治療に抵抗性を示した患者に対して投薬を検討するお薬となっています。

夜尿アラーム療法

 夜尿アラーム療法は夜中睡眠中に尿漏れがおこるとそれをセンサーが感知して警報音や振動刺激によって夜尿症の患者を覚醒させる治療法です。いわゆる行動療法の一つです。今一つピンとこない方も多いのではないでしょうか?どのような機序で夜尿(おねしょ)を治していくかというと、実は詳細はまだ明らかにはなっていないのですが、夜尿症患者の未熟な排尿反射抑制神経回路(膀胱におしっこがたまっている途中で、「膀胱が勝手に縮んで尿を出さないように」という脳からの命令系統がいまひとつ弱いのを)を、膀胱が充満したときに目を覚まさせることによってその命令系統を強化するというところにあるようです。この治療法は数多くの医学的根拠をもってこれまで示されてきています。
 ただ夜尿アラーム療法は1週間に少なくとも3回以上、夜尿があるような患者さんに効果があります。一方で、治療の選択肢となりにくい方は、夜中におねしょをするとアラームが鳴り、起こされるので、本人は勿論のこと、患者さんの保護者の方もストレスを感じてしまい、結局この治療法を希望しないようなこととなってしまう傾向がある方でしょうか。他の治療に比べて脱落してしまう確率が高いことが難点です。アラームが鳴れば保護者の方は夜中子供を起こさなくてはならないし、しかも睡眠中の子どもを起こすというストレスもかかり、また、装置の装着感の違和感なども大きな問題点であります。また、夜尿アラーム療法に即効性はないので、効果のほどを実感するまでに数か月以上を要することも多いので治療のモチベーションを保ちにくいかもしれません。この治療はすくなくとも6か月行って治療効果判定をおこない、効果がない場合は違う方法にきりかえることも検討しなければなりません。

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