骨盤臓器脱はどうやって治す?ペッサリー・骨盤底筋訓練・LSC・RSCなどを泌尿器科医が解説

健康・医療

こんにちは、管理人のYUKIです。

前回は、

「膣から丸いものが出てくる」

「夕方になると股の間に何か下がってくる感じがする」、

といった骨盤臓器脱(POP:Pelvic Organ Prolapse)の症状・種類・受診する診療科について解説しました。

今回はその続き、治療編です。、

骨盤臓器脱と診断されると、

「やっぱり手術しないと治らないの?」

「高齢でも手術できるの?」

「リングを入れる治療があると聞いたけれど?」

「腹腔鏡とロボット手術は何が違うの?」

など、いろいろな疑問が出てくると思います。

まず知っていただきたいのは、

「骨盤臓器脱がある=必ず手術」ではない

ということです。

現在の骨盤臓器脱治療では、脱出の程度だけではなく、

  • どのような症状で困っているのか
  • 膀胱・子宮・直腸など、どこが下がっているのか
  • 年齢や持病
  • 過去の手術歴
  • 性生活
  • 子宮を残したいか
  • 手術を希望するか
  • 本人がどの程度まで症状を改善したいか

などを考え、患者さん一人ひとりに合った治療を選択することが大切です。[1]

今回は、骨盤臓器脱に対する

保存的治療

と

手術治療

について、できるだけ分かりやすく説明していきます。

骨盤臓器脱は症状がなければ必ず治療するわけではありません

骨盤臓器脱が診察で確認されたとしても、本人がほとんど困っていなければ経過観察になることがあります。

骨盤臓器脱は、

「下がっているから治療する」のではなく、「そのためにどの程度困っているか」

が治療を考えるうえで非常に重要です。[1]

一方、

  • 膣から何かが出てきて歩きにくい
  • 股の間の違和感が強い
  • 膣粘膜が下着と擦れて出血する
  • 尿が出にくい
  • 残尿感が強い
  • 排便しにくい
  • 外出や運動がつらい
  • 日常生活に支障をきたしている

といった場合には治療を検討します。

治療方法は、大きく分けて、

①保存的治療

②手術治療

の2つがあります。

保存的治療

骨盤底筋訓練

まず比較的軽度の骨盤臓器脱で行われるのが骨盤底筋訓練です。

骨盤底筋とは、膀胱、子宮、直腸などの骨盤内臓器を下から支えている筋肉の集まりです。

この筋肉を意識的に収縮させることで、骨盤臓器脱による症状を改善させることを目指します。

骨盤臓器脱の女性を対象とした多施設ランダム化比較試験(POPPY trial)では、個別に指導された骨盤底筋訓練によって、骨盤臓器脱に伴う症状が改善することが報告されています。[2]

ただし、

「骨盤底筋体操をすれば、大きく飛び出した膀胱や子宮が完全に元の位置へ戻る」

という治療ではありません。

特に高度な骨盤臓器脱の場合、骨盤底筋訓練だけで脱出そのものを大きく改善させることは難しくなります。

それでも、

  • 軽度~中等度の骨盤臓器脱
  • 尿漏れを伴う場合
  • 手術を希望しない場合
  • 他の治療と組み合わせる場合

などでは有用な選択肢となります。

骨盤底筋訓練は「正しく」行うことが重要です

骨盤底筋訓練で意外に難しいのが、

本当に骨盤底筋へ力を入れられているか

ということです。

骨盤底筋を締めているつもりで、

  • お腹に力を入れる
  • お尻を強く締める
  • 息を止める
  • 強くいきむ

という動作になっている方もいます。

特に「いきむ」動作では腹圧がかかるため、骨盤臓器脱には逆効果になる可能性があります。

できれば最初は、骨盤底リハビリテーションに詳しい医師、看護師、理学療法士などから正しい方法を教えてもらうことをおすすめします。

また、数日で効果が出るものではありません。

数か月単位で継続することが大切です。[2]

リングペッサリー

手術をしない骨盤臓器脱治療の代表がペッサリーです。

日本では「リングペッサリー」と呼ばれることが多く、リング状などの器具を膣内に挿入し、下がってくる膣壁や子宮を内側から支えます。

「高齢だから仕方なく使うもの」

と思われることがありますが、そうではありません。

  • 手術を希望しない方
  • 持病のため手術のリスクを避けたい方
  • まず保存的治療を試したい方
  • 手術までの間、症状を抑えたい方

など、幅広い方に使用される治療法です。[3]

適切なサイズのペッサリーがうまくフィットすると、

「膣から何か出てくる感じがほとんど気にならなくなった」

という方もいます。

ペッサリーのデメリットは?

ペッサリーは手術をせずに症状を改善できる一方、長期間使用すると、

  • おりものが増える
  • 膣内の違和感
  • 膣粘膜のびらん
  • 出血
  • ペッサリーがずれる
  • ペッサリーが膣から脱落する

などが起こることがあります。[3]

そのため、

一度入れたら何年間もそのままでよい

というものではありません。

定期的に診察を受け、膣粘膜の状態やペッサリーの位置などを確認することが大切です。

また、患者さんによっては、医療者から指導を受けて、自分自身でペッサリーを取り外し、洗浄して再び入れる自己管理ができることもあります。[3]

ペッサリーは骨盤臓器脱そのものを根本的に治す手術ではありませんが、症状を抑えながら生活するための重要な治療方法です。

ペッサリーと手術、どちらがいいの?

これはよく聞かれる質問です。

2022年にJAMAに掲載されたランダム化比較試験では、症状のある骨盤臓器脱患者440人をペッサリー治療と手術治療に分けて比較しています。

24か月後、「かなり良くなった・非常に良くなった」と回答した割合は手術群の方がやや高い結果でした。

一方、ペッサリーでも多くの患者さんで改善を認めています。ただし、ペッサリー群から途中で手術へ変更した患者さんも多くみられました。[4]

つまり、

「ペッサリーは効かないから手術」

ということではありません。

ペッサリーで十分満足できる方もいれば、

「やはり根本的に治したい」

と手術を希望する方もいます。

本人がどのような治療を望むかがとても大切です。

サポート下着は?

骨盤臓器脱が膣の入り口より外へ大きく飛び出さないよう、物理的に支える下着やサポーターも市販されています。

外出時などに、

「出てくる感じが少し楽になる」

という方もいます。

ただし、これは骨盤臓器脱を治す標準的な治療ではありません。

あくまで症状を一時的に軽くするための補助的な方法と考えるのがよいでしょう。

骨盤臓器脱の手術治療

保存的治療を行っても症状が強い場合や、

「根本的に治したい」

という希望がある場合には手術治療を検討します。

骨盤臓器脱の手術には複数の方法があります。

大きく分けると、

①自分自身の組織を利用して膣側から修復する手術

②腹腔鏡やロボットを使用して、お腹側から修復する手術

③症例を選んで膣側からメッシュを使用する手術

などがあります。[1]

手術は、

「骨盤臓器脱なら全員この術式」

というものではありません。

脱出している部位や程度、全身状態、これまでの手術歴、患者さんの希望などによって選択します。

腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)とは?

LSCは、

Laparoscopic Sacrocolpopexy

の略で、日本語では腹腔鏡下仙骨膣固定術と呼ばれます。

骨盤臓器脱に対する代表的な手術の一つです。

腹部に小さな創を作って腹腔鏡を挿入し、骨盤内を観察しながら行います。

一般的には人工メッシュを膣壁などに固定し、そのメッシュを仙骨付近へ固定することで、下がってきた膣や骨盤臓器を引き上げて支えます。

ここで大切なのは、

「LSCでメッシュを使う=TVMと同じ手術」ではない

ということです。

LSCはお腹側からメッシュを留置する手術です。

後ほど説明するTVMは、膣側からメッシュを挿入する手術なので、同じ「メッシュ」という材料を使っていても方法は異なります。

米国FDAも、POPに対する経腟メッシュと、仙骨膣固定術などで腹側から使用するメッシュは別の治療として扱っています。[7]

ロボット支援下仙骨膣固定術(RSC・RASC)とは?

同じ仙骨膣固定術を、手術支援ロボットを使って行うのが、

ロボット支援下仙骨膣固定術(RSC/RASC)

です。

基本的な手術の考え方はLSCと同じです。

人工メッシュを用いて、下垂した膣や子宮などを仙骨側へ固定します。

ロボット手術では、

  • 立体的で拡大された視野
  • 人の手首に近い自由度で動く鉗子
  • 骨盤深部での細かな縫合操作

などが可能になります。

ただし、

「ロボット手術だからLSCより必ず治りやすい」

というわけではありません。

LSCとRSCを直接比較したランダム化比較試験では、短期的な症状改善や解剖学的な治療成績、合併症について大きな差を認めなかったと報告されています。[6]

そのため、

  • その病院でどちらを行っているか
  • 術者がどの術式に習熟しているか
  • 骨盤臓器脱の状態
  • 患者さんの全身状態

などを考えて選択します。

LSC・RSCは誰でも受けられる?

LSCやRSCでは、一般的に全身麻酔を行います。

また腹腔鏡手術では、お腹の中に二酸化炭素を入れたり、手術中に頭側を低くした頭低位という体位をとったりします。

そのため、

  • 心臓や肺の病気
  • 脳血管疾患
  • 眼圧に関連する疾患
  • 過去の腹部手術
  • 全身麻酔のリスク

などについて術前に評価します。

しかし、

「緑内障があるから絶対にLSC・RSCはできない」

「高齢だからLSC・RSCはできない」

と年齢や病名だけで決まるものではありません。

持病の程度や全身状態、麻酔科での評価などを含めて個別に判断します。

子宮は必ず摘出するの?

これも患者さんからよく聞かれる質問です。

骨盤臓器脱の手術では、以前は子宮脱があれば子宮摘出を組み合わせることも多く行われてきました。

しかし現在では、

子宮を残して骨盤臓器脱を修復する「子宮温存手術」

も重要な選択肢です。

AUGSは2025年、骨盤臓器脱手術における子宮温存についてClinical Practice Statementを発表しており、子宮を残したいという患者さんの希望も含め、メリット・デメリットを説明したうえで術式を選択することの重要性を示しています。[5]

つまり、

「子宮脱=子宮を取らなくてはいけない」

とは限りません。

子宮温存が適しているかどうかは、子宮や子宮頸部の病気の有無、脱出の状態、本人の希望などを総合して判断します。

膣から行う手術もあります

骨盤臓器脱は、お腹からだけではなく膣側から治す方法もあります。

人工メッシュを使用せず、自分自身の筋膜や靱帯などを使って修復する方法は、

native tissue repair(自己組織修復術)

と呼ばれます。

たとえば、

  • 前膣壁形成術
  • 後膣壁形成術
  • 仙棘靱帯固定術
  • 仙骨子宮靱帯固定術

などがあります。

これらの方法は人工メッシュを使わないことが大きな特徴です。

また、今後膣性交を予定しておらず、患者さんの状態や希望によっては、膣を閉鎖して脱出を防ぐ膣閉鎖術が選択される場合もあります。

したがって、

「骨盤臓器脱の手術=LSCかTVMの二択」

ではありません。

TVM手術とは?

TVMは、

Transvaginal Mesh

の略で、膣側から人工メッシュを挿入し、骨盤臓器脱を修復する手術です。

日本でも2000年代以降広く行われました。

一方、その後、

  • メッシュの膣内露出
  • 慢性疼痛
  • 感染
  • 性交時痛

などのメッシュ特有の合併症が問題となりました。

米国では2019年、FDAが骨盤臓器脱治療のための経腟メッシュ製品について、安全性と有効性の十分な保証が示されていないとして販売・流通停止を命じています。[7]

ここで注意していただきたいのは、

「メッシュを使う手術がすべて禁止になった」わけではない

ということです。

先ほど説明したLSCやRSCで腹側から使用するメッシュは別の扱いです。[7]

また、

「TVMは世界中で完全に行われなくなった」

という意味でもありません。

日本では現在も一部の施設で、症例を選択してTVMが行われています。

2024年に日本泌尿器科学会雑誌へ掲載された国内の後ろ向き研究では、POP-Q stage 3以下の選択された患者において、TVMとLSCの術後1年成績が比較され、TVMでも良好な短期成績が報告されています。[8]

ただしこれは一施設の後ろ向き研究であり、

「TVMとLSCはすべての患者で同じ成績」

という意味ではありません。

現在は、

  • LSC
  • RSC
  • 自己組織修復術
  • 子宮温存手術
  • TVM

など複数の術式の中から、患者さんの状態に応じて選択することが重要です。

メッシュを使う手術なら二度と再発しない?

これも誤解されやすい点です。

人工メッシュを使用することで強い支持を得ることはできますが、

メッシュを使えば絶対に再発しないわけではありません。

また、LSC・RSCのように腹側からメッシュを使用する場合でも、

  • メッシュ露出
  • 感染
  • 疼痛
  • 周囲臓器への影響

などのメッシュ関連合併症が起こる可能性はゼロではありません。

近年の長期追跡研究でも、仙骨膣固定術後のメッシュ露出は時間が経過してから見つかることがあると報告されています。[9]

ただし、その頻度は手術内容、使用するメッシュ、子宮摘出を同時に行うかどうかなどによって異なります。

大切なのは、

「メッシュは危険」

あるいは逆に、

「メッシュなら絶対安心」

と単純に考えるのではなく、メリットとリスクの両方を理解して治療を選ぶことです。

「どの手術が一番いい?」とは簡単に言えません

患者さんとしては、

「結局、一番再発しない手術をしてください」

と思うのは当然です。

しかし骨盤臓器脱では、

すべての患者さんにとって一番よい術式

というものはありません。

手術を選ぶ際には、

  • 膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤など、どこが下がっているか
  • 脱出の程度
  • 初めての手術か、再発例か
  • 子宮を残したいか
  • 過去の腹部・骨盤手術
  • 心臓や肺などの持病
  • 全身麻酔のリスク
  • 今後の性生活
  • メッシュを使用することについての希望
  • 本人が何を一番改善したいのか

などを総合して考えます。[1,5]

これは骨盤臓器脱治療で非常に重要なポイントです。

術後の痛みは?

「手術そのものより術後の痛みが怖い」

という方も多いと思います。

LSCやRSCでは、お腹に腹腔鏡やロボットの器具を入れるための小さな創が数か所できます。

術後の痛みには個人差がありますが、鎮痛薬を使用しながら早期から歩行を始めるのが一般的です。

一方、膣側から行う手術では、膣内や骨盤の奥に違和感や痛みが生じる場合があります。

ただし、

「LSCなら痛くない」

「TVMなら必ず臀部が強く痛む」

と単純に決められるものではありません。

術式、手術範囲、患者さんの個人差によって変わります。

性交時痛について

骨盤臓器脱の手術方法を選ぶ際には、術後の性生活についても考える必要があります。

経腟手術では膣壁へ操作を加えるため、術後に膣の違和感や性交時痛が生じることがあります。

一方、LSCやRSCでも性交時痛が絶対に起こらないわけではありません。

したがって、

「TVMだけが性交時痛を起こして、LSCなら絶対起こらない」

という説明は正確ではありません。

今後も性生活を続けたいという希望は、術式を選ぶうえで大切な情報です。

診察室では話しづらいことかもしれませんが、遠慮する必要はありません。

手術時間・出血量・入院期間は?

私自身の経験でも、術式によって手術時間や出血量には違いがあります。

しかし現在の記事で、

「LSCは○時間」

「出血量は○mL」

「入院は必ず1週間」

などと一律の数字を示すのは適切ではないと思います。

手術時間や出血量は、

  • 骨盤臓器脱の程度
  • 子宮を摘出するか温存するか
  • 過去の手術による癒着
  • 術式
  • 術者や施設

などによって大きく変わるからです。

また、術後管理も施設によって異なります。

一般的には、

  • 術後早期から飲水・食事を再開
  • できるだけ早く離床・歩行
  • 排尿状態を確認しながら尿道カテーテルを抜去
  • 発熱、出血、感染、排尿障害などがないことを確認

したうえで退院となります。

入院期間については、実際に手術を受ける施設で確認するのがよいでしょう。

手術後に尿漏れが出てくることもあります

これはぜひ知っておいていただきたい点です。

高度な骨盤臓器脱では、膀胱や尿道の位置が大きく変化していることで、もともと存在していた腹圧性尿失禁が目立たなくなっていることがあります。

骨盤臓器脱を手術で元の位置へ戻したあと、

「脱は治ったけれど、今度は咳やくしゃみで尿が漏れるようになった」

ということが起こる場合があります。

これを潜在性腹圧性尿失禁などと呼びます。

そのため、手術前には尿漏れの有無だけでなく、膀胱や尿道の機能について評価することがあります。[1]

骨盤臓器脱の治療を簡単に整理すると

治療選択を非常に簡単に整理すると、

症状がほとんどない
→ 経過観察も選択肢

軽度~中等度で保存的に治療したい
→ 骨盤底筋訓練

手術をせずに脱出を抑えたい
→ ペッサリー

症状が強く、根本的な改善を希望
→ 手術を検討

となります。

そして手術にも、

  • 腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)
  • ロボット支援下仙骨膣固定術(RSC)
  • 自己組織を利用した経腟手術
  • 子宮温存手術
  • 膣閉鎖術
  • 選択された症例でのTVM

など、複数の方法があります。

大切なのは、

「骨盤臓器脱だからこの手術」ではなく、自分の症状・身体の状態・これからの生活に合った治療を選ぶこと

です。

まとめ

骨盤臓器脱には、

保存的治療

と

手術治療

があります。

保存的治療の代表は、

  • 骨盤底筋訓練
  • ペッサリー

です。

症状が軽ければ、必ずしも手術をする必要はありません。

一方、脱出が大きかったり、日常生活への影響が強かったり、本人が根本的な治療を希望したりする場合には手術を検討します。

手術には、

  • LSC
  • RSC
  • 自己組織を利用した経腟手術
  • 子宮温存手術
  • 症例を選んだTVM

などさまざまな方法があります。

年齢だけで手術方法が決まるわけではありません。

どこが脱出しているのか、持病、これまでの手術歴、性生活、子宮を残したいか、そして何より患者さん本人の希望を考えながら治療方法を選択します。

骨盤臓器脱は、

「恥ずかしいから我慢するしかない」

病気ではありません。

手術をしない治療から手術治療まで、いくつもの選択肢があります。

症状で悩んでいる方は、一人で抱え込まず、婦人科、泌尿器科、女性泌尿器科、ウロギネコロジーなど、骨盤臓器脱を扱っている医療機関へ相談してみてください。


参考文献・一次資料

[1]Carberry CL, Tulikangas PK, Ridgeway BM, Collins SA, Adam RA. American Urogynecologic Society Best Practice Statement: Evaluation and Counseling of Patients With Pelvic Organ Prolapse. Urogynecology. 2025;31(5):471-481. doi:10.1097/SPV.0000000000001641.

骨盤臓器脱では、解剖学的な脱出の程度だけでなく、膀胱・排便・膣の症状、患者本人がどの程度困っているのか、生活上の希望などを含めて評価し、経過観察・保存的治療・手術治療を個別に選択することを示したAUGSのBest Practice Statement。

[2]Hagen S, Stark D, Glazener C, et al; POPPY Trial Collaborators. Individualised pelvic floor muscle training in women with pelvic organ prolapse(POPPY): a multicentre randomised controlled trial. Lancet. 2014;383(9919):796-806. doi:10.1016/S0140-6736(13)61977-7.

骨盤臓器脱女性を対象とした多施設ランダム化比較試験。個別指導による骨盤底筋訓練で骨盤臓器脱症状の改善を認めた。

[3]American Urogynecologic Society, Society of Urologic Nurses and Associates. Vaginal Pessary Use and Management for Pelvic Organ Prolapse. Urogynecology. 2023;29(1):5-20. doi:10.1097/SPV.0000000000001293.

ペッサリーの適応、フィッティング、フォローアップ、自己管理、びらん・出血などの合併症についてまとめたClinical Consensus Statement。

[4]van der Vaart LR, Vollebregt A, Milani AL, et al. Effect of Pessary vs Surgery on Patient-Reported Improvement in Patients With Symptomatic Pelvic Organ Prolapse: A Randomized Clinical Trial. JAMA. 2022;328(23):2312-2323. doi:10.1001/jama.2022.22385.

症候性骨盤臓器脱440例をペッサリーと手術へ無作為化して比較したRCT。両群で症状改善を認めたが、ペッサリーから手術への移行も多かった。

[5]Chang OH, Carter Ramirez A, Edwards A, et al. The Role of Uterine Preservation at the Time of Pelvic Organ Prolapse Surgery. Urogynecology. 2025;31(5):482-495. doi:10.1097/SPV.0000000000001667.

骨盤臓器脱手術における子宮温存についてまとめたAUGS Clinical Practice Statement。

[6]Anger JT, Mueller ER, Tarnay C, et al. Robotic Compared With Laparoscopic Sacrocolpopexy: A Randomized Controlled Trial. Obstet Gynecol. 2014;123(1):5-12. doi:10.1097/AOG.0000000000000006.

腹腔鏡下仙骨膣固定術とロボット支援手術を直接比較したランダム化比較試験。短期の症状、POP stage、合併症について大きな差を認めなかった。

[7]U.S. Food and Drug Administration(FDA). Urogynecologic Surgical Mesh Implants / Pelvic Organ Prolapse Surgical Mesh Considerations and Recommendations.

FDAは2019年、骨盤臓器脱治療用の経腟メッシュ製品について米国内での販売・流通停止を命じた。一方、腹腔鏡・ロボット支援仙骨膣固定術などで腹側から使用するメッシュとは区別している。

[8]黒田健司,濱本孔越,河村一樹,堀口明男,伊藤敬一.ORIHIME®を用いた経腟メッシュ手術(TVM)と腹腔鏡下仙骨腟固定術の術後1年成績の比較―POP-Q stage 3以下の骨盤臓器脱におけるTVMの良好な成績―.日本泌尿器科学会雑誌.2024;115(2):53-63.doi:10.5980/jpnjurol.115.53.

日本国内でTVMとLSCを比較した原著論文。選択されたPOP-Q stage 3以下の症例における術後1年間の成績を報告している。

[9]Bretschneider CE, Myers ER, Geller EJ, et al. Long-Term Mesh Exposure 5 Years Following Minimally Invasive Total Hysterectomy and Sacrocolpopexy. Int Urogynecol J. 2024;35(4):901-907. doi:10.1007/s00192-024-05769-5.

低侵襲仙骨膣固定術後を長期追跡した研究。手術成績は良好に維持された一方、メッシュ・縫合糸露出は時間経過とともにみられる可能性があることを示している。


※本記事は骨盤臓器脱およびその治療について一般的な医学情報を提供することを目的としたもので、個々の患者さんの診断や治療方法を決定するものではありません。適切な治療法は骨盤臓器脱の部位・程度、症状、全身状態、既往歴、患者さん本人の希望などによって異なります。実際の治療については、骨盤臓器脱を専門に扱う婦人科・泌尿器科・女性泌尿器科などでご相談ください。

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